雪舟の割り鐘馗(真板鐘馗)

鐘馗とは道教の神でマラリアにかかった唐の玄宗皇帝を病から救った神で疫病や魔除け災難を払う神として信仰されている。日本では疱瘡(天然痘)除けとして特に信仰された。

当寺の鐘馗像は室町時代に山口に滞在していた雪舟が当寺に滞在した時に彫った鐘馗像と伝えられ、雪舟の割り鐘馗(真板鐘馗)と呼ばれている。

雪舟が南原寺に滞在した時は非常に暑い夏で、築庭中に村人達とウナギを取って食べようという事になり、村人はウナギを取りに行き雪舟は包丁を研いで待つことになった。村人がなかなか帰ってこず退屈した雪舟は暇つぶしに真板に鐘馗大臣の像を彫った。

雪舟が寺を去った後、雪舟の鐘馗大臣として祀ると参拝した者が御利益ではなく不幸や病気が悪化したりした。又、夜な夜な鐘馗像が音を立てて動いていたので鐘馗の力が強すぎるのだろうと当時の住職が真板の鐘馗像を割ったと伝えられている。以来、ご利益の効験が大きく多くの参詣を集めたといい、寺に参詣できない重病人や老人の為に刷り絵としても送付していた。

鐘馗の刷り絵の話を聞きつけた江戸在勤の萩毛利藩主が疱瘡除けのお守りとして所望したいと寺社奉行を通じての書状が届き、礼状と一緒に当寺に保存されている。

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